大判例

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福岡高等裁判所 昭和26年(う)3897号・昭26年(う)3899号・昭26年(う)3895号・昭26年(う)3896号・昭26年(う)3900号・昭26年(う)3898号 判決

原判決は、税務署の管理者である署長の禁示を侵し、同署内に侵入した事実を認定し、刑法第百三十条に問擬したものであつて、同判決に「前記の如く破壊され開けられた直税課元北側出入口から」とあるのは、単に、被告人が署内に侵入した入口を示したものに過ぎず、それ以上、何等特別の意義を有するものでないこと、判文上明白である。

国民が正当の理由に基き、税務署に立入る一般的権利を有すること所論の通りではあるが、右の権利は無制限に、之を行使し得るものではなく、税務署の執務に支障を来たさない時機方法に由ることを要する。これを逆の方面から本件に則して論ずれば同一目的を有する興奮せる大衆が、署長に面接を求めて、税務署内に殺到しようとする気配ある場合の如き、同署の管理人である税務署長は、前記国民の権利と執務上の支障の程度とを適当に考量の上、例えば、大衆の代表者の入署、面接を許容しその他一般大衆の入署を禁ずる等適宜の措置に出ずべく、右は管理者としての署長の権限である許りでなく、職責上正に期待せらるるところの責務と謂わねばならない。そして情勢の如何によつては、右措置の一として一時税務署の総ての出入口を鎖ざし代表者以外の者の無断侵入を防ぐ方法に出ずるもまた已むを得ないところであつて、これを目して国民の基本的権利を侵害するものとは云い得ない。原判決の事実摘示と、証拠とによれば、本件の場合署長は右と同一の理由により、代表者の外一般大衆の署内への侵入を防ぐため、署員等をして各出入口を杜絶せしめたものであり、又右措置が管理者たる署長の意に基くものであることは、被告人等においても之を熟知つていたものと認められるし、又原判決が右と同一の見解に立ち被告人を刑法第百三十条に問擬したものであることは、原判決を一読して明である。次に本件の如き場合に一般人に禁止を侵して税務署内に侵入する行為を差控えることを期待できないとは到底思われない。従つて本論旨は総て理由がない。

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